【時計職人に聞く】Part.13 ニセモノの時計の見分け方。Chanel J12 編
昨今、時計のコピー品の流通は年々増え続けています。
例えば、この時計欲しいんだよな~と型番をネット検索すれば数ページ目にはコピー時計の販売サイトが出てきたりします。 コピーのレベルも多岐にわたり、本物の隣に置いて並べてみてもパッと見には全然見分けがつかないような所謂スーパーコピーと呼ばれる偽造品や、はたまた「コレは分かるだろ~」というような如何にもな偽造品も市場に多く流通しています。
数多くの時計メーカーは長年の技術の研鑽の上に、現在のブランド力や憧れを作ってきました。そんな時計メーカーに敬意を払う上でもコピー品を見分けるということは大切だと思います。 今回は分かりやすい例とともに、コピー品てこんなイメージなんだということを知ってもらえたらと思います。
これを読んでいるあなたがニセモノを掴ませられることのないように、世の中かコピー品が無くなることに少しでも寄与できれば我々も嬉しく思います。
第13回のお題目は以下の通り↓↓
■目次
【時計職人に聞く】Part.13 ニセモノの時計の見分け方。Chanel J12
1.これは本物?それともニセモノ?
2.見分け方のポイント~文字盤編~
3.見分け方のポイント~ケース裏編~
4.シャネルJ12 見分け方まとめ
1.これは本物?それともニセモノ?
【画像1】
【画像2】
【画像3】
【画像4】
正解一覧はこの記事の一番最後にあります。
2.見分け方のポイント~文字盤編~
さて、それでは先程の画像をそれぞれ詳しく見ていきましょう!
まずは【画像1】から見ていきましょう、
これは本物ですね。シャネル J12 41mm 型番:H1008
インダイヤルの背景には綺麗な「サンレイ仕上げ」が施されていますので、時計を動かしたときに中心から外側へ向かって放射状の綺麗な光の煌めきが見て取れます。
次に【画像2】について、
これは。。。これは「ニセモノ」です!!!
ツッコミどころがいっぱいありますが、何点か特徴的なところをピックアップしてきましょう。
最初に 【画像1】 と比較しながら見ていきましょう。
インダイヤルの背景はなんだか立体感がないというか「のぺーっ」としてますよね。特にデザイン的な技法が用いられることもなくただ単に白い背景です。
そしてなんといっても大胆すぎて気づかないのですが、そもそもこのデザインのインダイヤルは存在しません(笑)素晴らしい大胆不敵さです。と偽物である以上褒められるところはないのですが、このような場合もあり得ます。
そして、6時位置のインダイヤルの上部の文字ですね。
「CHRONOGRAPH TIME」とありますが、本物には次のように記載されています。「OFFICIALLY CERTIFIED CHRONOMETER」これは公認クロノメーターという意味合いでスイスクロノメーター検定協会(Controle Officiel Suisse des Chronometres C.O.S.C.)が公式に認定したムーブメント基準に適合するものにのみ刻印が許される表記となっています。
あとはデイト表示のフォント(字体)ですね。
特に数字の「1」を比べると分かりやすいかと思いますので比較用に画像の「1」を実際に比べてみましょう。 画像「1」ニセモノ 画像「2」ホンモノ 「1」の頭の部分に突起があるのは現在J12で使われていないフォント(字体)になります。真っすに1本線の「1」が現在本物に使われている字体になります。
【画像3】はどうでしょうか?
これは本物ですね。シャネル J12 41mm 型番: H2009
【画像4】はどうでしょうか?
こちらも本物ですね。シャネル J12 41mm 型番: H1007
3.見分け方のポイント~ケース裏編~
まずは下にある2つの画像を見比べてみてください。
【1番目】
【2番目】
次にこちら ニセモノ裏面 どちらがホンモノでしょうか?
答えは【2番目】の方です。
この画像で言えばねじ山の収まる位置とネジとネジの配置の間隔でしょう。1枚目のコピー品と比較すると2枚目のネジ位置は少し距離がありますよね。また、ネジの頭の収まり位置についても違いがあったりします。
例えば【1番目】は深く沈みこんでいますが、【2番目】に関しては少し表面より少し沈んでいる。といった具合です。細かい点も探せば様々な違いが見えてきます。
4.シャネルJ12 見分け方まとめ
ここまでいろいろとニセモノポイントについて見てきましたが、見るべきポイントを整理しておきましょう。
【文字の文字、数字をよく見てみる。】
刻印は綺麗にされている? 刻印されている文字はどう? 文字の形はどう?
文字に関しての注目をしてみることが偽物を見抜く第一歩となります。
【文字盤の背景や状態を見てみる。】
・ギョウシェ掘りやサンレイ加工など彫刻的なデザインはされている?
高級時計は、ただ単に時間を見る道具ではありません。各ブランドともにその名に恥じぬようプライドをもったモノづくりをしているものです。
それは、細部までのこだわりに終着していきます。どのようにしたらきれいに見えるか?どのようにしたら立体的に見えるか?など高級車のように細かいとこまでデザインされているものです。技術的なところはわからなくとも、その完成を感じるかどうかも大事なポイントです。
【裏面や細かいところに高級感を感じるか?】
・ 時計を動かしてみて光の反射などが綺麗か?
・ ネジ頭のデザインや配置、収まっている位置がどう?
近年の通常高級時計にはサファイアクリスタルガラスが使用されています。斜めから光の反射を見てみるとやや紫がかった色が見えます。また、サファイアクリスタルガラスを使用していないものですと室内の蛍光灯が映り込んだ安っぽい反射の仕方をしたりします。この辺りは実際に目の前に実物がないと最初はわかりにくいポイントかもしれませんが、明らかに質感が違います。(※製造年代やブランド、モデルによってはプラスチック等の素材も使われている場合があります。)裏面は割と偽物製造会社も手を抜きやすい部分ですので裏面や側面から見てみるのも有効的です。
刻印や位置などが綺麗に整っているか、表から見て、後ろからも見て、ニセモノである場合は、「どこが違うかわからないけどなんか違うな~」と感じるものです。
手にした時の「直感」は意外に当たることが多かったりしますので、パッと見て「あれっ?」何か違和感を感じた際には購入の前に少し一呼吸おいてよく見てみるというのは良い方法かもしれませんね。
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前回の記事はコチラ>>>【時計職人に聞く】Part.12 時計の心臓、ムーブの洗浄と組み立てします。
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