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【時計職人に聞く】Part.8 防水修理。

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【時計職人に聞く】Part.8 防水修理。

【時計職人に聞く】Part.8 防水修理。

第8回は時計の防水についてフォーカスしていきたいと思います。

今回はなかなか見る機会がない修理の現場をご紹介していきます!
※上の青い写真は日サロではないですよ(笑) 真ん中にあるのは時計のケースです。

第8回のお題目は以下の通り↓↓

 

1.防水性能について。

高級時計を選ぶ際には防水性能の話や、どんな環境に時計が対応しているのかのご説明を店員さんから受けますよね。
まずはどんな防水性能の表記があるのかざっとおさらいしておきましょう!

時計の防水表記一覧
↑↑↑詳細ページへのリンクはコチラからどうぞ。

大きく分けるとこんな感じです。
【非防水】:これはもう見て字の如く防水性能のない時計になります。

【日常生活防水】:手を洗ったりしたときの水しぶきとか、小雨の日のちょっとした水しぶきに対する防水性能です。

【日常生活強化防水】:時計をしたまま水の中に手を入れるなど、の状況に対しても防水性能が保たれます。大きな水圧がかかる状況下では防水不可。

【潜水用、飽和潜水用防水】:もうこれはプロ仕様です、日常生活においてはほとんどの場面で防水性能が保たれます。ダイバー仕様ですから記載の深度までもほぼ耐えます。

2.まずは空気の流れを見る。

ここまでは「時計の防水」とはどんなイメージなのか?なんとなくイメージを掴んで頂いていると思います。

でも、長く使っていたりしての自然変化や(例えば、パッキンのゆるみとか劣化など)、何かのきっかけで防水性能が弱くなってしまうなどの状況で(例えば、ケースが歪んでしまった)、ものすごく小さなスキマができてしまったなどという場合も長く修理をしていると遭遇する場合があります。

長期使用でのゴムパッキンの劣化により防水性が弱くなるというのは時計にはよくある話です。その際にはゴムパッキンを新しいものに交換するだけでOKですが、問題はスキマが何かのきっかけでできてしまった場合…

一体どんな修理をしているのか気になりますよね?

今回はその現場をご紹介したいと思います。

防水性が弱くなる。ということは!

スキマがある。

空気の流れがある。

という事でもあります。つまり空気の流れが見えればどこにスキマがあるのかが分かりますよね。
あとはそのスキマを埋めてあげればOKということです。

では、どうやって空気の流れを見るか?
コレはもう水の中に時計を入れちゃいます!!
(もちろん時計のケースの中に納まっている心臓部ムーブメントはちゃんと取り外して避難しておきます。)

その場面が下の画像になります。
時計防水性能

専用の機械がありまして、そこに水を入れ、その中に時計をそのまま入れてしまいます。
これは自転車のパンク修理にも似ていますよね。空気が漏れているのはわかっているけどどこから抜けているのかが分からない。そんな時は水の中に沈めれば空気の漏れている個所からポコポコポコっと気泡が出てきます。その部分が修理箇所になるわけですね!!

今回はベゼルとガラスの境目が問題の箇所でした。

次の工程は実際の修理になります。

3.スキマの修復。

空気の漏れている場所が判明したので、今度はその個所の修復作業に入ります。

どうやって修復するのか気になりますよね。
今回は割と簡易的な手法を用いての修理となりました。

ベゼルとガラスの目視ではわからないスキマを専用の液体で埋めてしまうというものです。その液体は最初は液体ですが、紫外線照射をすることで固まって頑丈になります。

ではその作業風景もご覧ください。

まずは、作業中に時計のケース自体に傷が付かないように台座の上にセッティングします。
時計修理

次がメインですね。特殊な液体を空気が漏れている個所に綺麗に載せていきます。
余分なところには付かないように、かつしっかりとスキマが塞がるように作業していきます。
特殊な薬品を爪楊枝で取ります。
時計修理
修理箇所に塗布していきます。爪楊枝を使う理由は素材が木なのでケースやガラスと触れたときに傷にならないんですね!
時計修理

綺麗に作業を終えた後は乾燥です。
紫外線の中に2時間ぐらい置いておきます。そうすることで綺麗に修復部分が硬化します。
時計修理

4.最終チェック!!

ここまでで修復を終えていますが、確実に修理が完了しているかの最終チェックをしていきます。
最初は水の中に時計を入れて空気の漏れを見ていきましたが、最終チェックでは気圧の変化を感知できる機械で検証をしていきます。
どんな原理かといいますと、気圧を高めた中に時計を入れます。もし時計のケースのどこかにわずかでも空気の出入がある場所があった場合、時計のケース内部の気圧と時計のケースを囲むまわり気圧の高低差により時計内部にも気圧の変化が発生します。その圧力の変化をほんの少しでも検知することで防水性が保たれているかどうかを判別します。

まずは機械の中心にセッティングします。
時計修理

機械を密閉して測定中。。。
時計修理

測定終了!
時計修理

最後に問題が無ければ「OK」のランプが点灯するので、これにてようやく修理が完了となります。

お持ちの古い時計や、愛着のある時計の修理やメンテナンスして欲しいんだよね~。ちょっと見て欲しいんだけど…。大歓迎です。お近くの店舗まで是非お越しください。

お預かりさせていただく場合ももちろんございますが、ゆきざきの時計修理技術士がしっかりと見させていただきます。

前回の記事はコチラ>>>【時計職人に聞く】Part.7 機械式時計の精度の秘密。

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