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【時計職人に聞く】Part.5 メンテナンスの神髄、「時計職人」と言われる職人たち。(2)

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メンテナンスの神髄

【時計職人に聞く】Part.5 メンテナンスの神髄、「時計職人」と言われる職人たち。(2)

前回の【時計職人に聞く】Part.4では時計雑誌の「GNOMONグノモン」についてご紹介しました。
なかなか古い雑誌ですので、初めて知ったという方も多かったのではないでしょうか?

そんな中でC.M.W.(Certified Master Watchmakerの略称)をチラッとだけ話題にしました。
今日は時計技術の最高峰資格C.M.W.についてご紹介したいな~と思います。

機械式時計の時代からイノベーションをへて電池式時計が一気に躍り出たいわゆる「クォーツショック」。
今でこそ電池式、充電式の時計は当たり前、電話もできるし体調管理も時計でできてしまう時代ですが、
古き良き機械式時計の時代の雰囲気ってどんな感じなの?

機械式時計の歴史って???
と思う時計の世界へ足を踏み入れたばかりの方もいらっしゃるかもしれません。

そんなあなたにも機械式時計が全盛期の時代を感じてもらえたらな~ということで

時計業界の歴史をなぞっていきたいと思います。

第5回のお題目は以下の通り↓↓

 

1.時計技術の最高峰資格C.M.W.

C.M.W.(Certified Master Watchmaker)とはどんなものなのかをご紹介したいと思います。

そもそも、誰が公認してるの?といいますと、
「日本時計師会」という民間団体が資格試験を実施、合格者を認定する。ということになるようです。

C.M.W.とは

C.M.W.は「公認上級時計師=Certified Master Watchmaker」 の略称となります。
このC.M.W.という認定試験発祥の地はアメリカ。

時計職人最高峰の時計技術試験で、
一次試験、二次試験の難問を通過した者にのみ合格が認定されたようです。

クォーツ式時計が未だ世の中に誕生する前の時代です。

その後、時代は進み、
日本国内においても米国時計学会【HIA】日本支部を設立されることとなります。

C.M.W.試験が日本で行われたのは調べたところ1954年、(昭和29年)
今年65歳を迎える方が生まれた年になります。

1954年当時は「ジョー・ディマジオ、マリリン・モンロー夫妻が来日。」
なんてニュースもあったようです。時代を感じます!!

それはさておき、試験の内容はどんなことをやるのか?

一次試験は学科試験250問出題され、実技試験として時計旋盤による天真別作,巻真別作。
二次試験は懐中時計の天真別作、ドテピン別作、ヒゲ棒別作等、
故意に大きく壊されている懐中時計のオーバーホールと、
修理及びクロノメーター級の精度を求める高度な時計修理。
故意に壊されている時計の修理・オーバーホール及び精度調整。

様々な角度から時計に関する難題が質問されるらしく、技術的な試験はもとより、
天文学的な知見をも求められる試験とのこと。

試験がスタートしてから50年以上の時間を経ても合格者800人という難しい試験内容で、
時計職人なら誰もが羨望の眼差しを向ける資格と言われているそうです。

年間の合格者が1人も出ない年があることも多々あったようです。

日本の国家資格でもある「時計修理技能士 1級」よりも
さらに難しい技術と知識が要求される民間試験という位置づけですね。

パーペチュアルカレンダーなどを自作できる技術と知識が求められる試験の難易度と聞いたことがあります。

もはや超絶技巧の世界です…(思わずタメ息が出てしまいそうです笑)

実は、前回ご紹介した
【時計職人に聞く】Part.4のTOP画像で掲載した時計雑誌「GNOMONグノモン」の創刊号の裏表紙に
このC.M.W.の文字が書かれていました。

当時の時計技術士が、腕を磨くために仲間と切磋琢磨した片鱗を垣間見ることができた瞬間でした。

創刊号は1956年、(昭和31年)
時代的には気象庁が発足し、第4回参議院選挙が実施され、
横浜、名古屋、大阪、京都、神戸が政令指定都市に指定された年です。

この年に生まれた有名人はメル・ギブソン、役所広司、大地真央、さんがいらっしゃるようです。

ちょっとお堅い話が続きましたので、時計の歩んできた歴史も軽やかにご紹介していきたいと思います。

2.腕時計の生まれた時代

腕時計が生まれた時代はどんな時代だったのか?

今でこそ腕時計は当たり前に街中のお店やネットショップでも売っていて、
お住いの中心地区へ足を延ばせば必ず何かしらの腕時計は買うことができる時代です。

昔は(といってもだいぶ昔ですが…笑)町に時計塔があり、その時刻を共有していました。
中世では教会などに時計があり、教会の鐘の音が地域の時報の代わりなどにもなっていました。

その後、封建社会から資本主義の時代向かっては富裕層のお屋敷に大きな飾り時計が配置され、
技術の進歩と時間の管理が当たり前の産業革命の時代へ突入します。

時間を管理する必要性が生まれた人々は時計を携帯するようになります。
これがいわゆる懐中時計の始まりですね。

庶民にはまだまだ広まることはなく、懐中時計の素材は金無垢素材であったり、
表面や内面に豪華な装飾が施されています。

そんな時代を経て、時計はより小さく、軽くなっていきます。
時は19世紀末から20世紀初頭のころのお話しです。

当時は時計よりジュエリーがまだまだ主軸でした。
左下の時計はベゼルフルダイヤのモデルですね。

白洲次郎も愛用したといわれるイギリスJ.W.Benson社の時計広告です。
当時、世界の中心はイギリス。その時代を感じます。

3.ロレックスが地位を確立したとき

懐中時計から、時代の変化とともに徐々にその装飾性をそぎ落としてく中で、
颯爽と登場したのが当時のロレックスでした。

時計の歴史を知る上でロレックスは大事なポイントです。

密閉した時計のケース構造を確立し、「防水機能」、「防塵機能」を世に打ち出していきます。

かの有名なROLEX「オイスター」の登場です。

それまでの防水性を持った時計は、時計をさらにもう一つのケースで密閉してしまうか、
時計の文字盤側(ガラス側)からの開閉構造で、キツく締めると文字盤の12時の位置がズレてしまうような構造を持った時計が主流でした。

ロレックス「オイスター」はケース裏からのねじ込み式構造にすることで、
キツく締めあげても文字盤の位置や角度にズレが無く、リュウズもねじ込み式を採用することで
時計自体を別のもう一つのケースで覆うなどと言った構造的問題を革新的に解決し、
デザイン的にも機能的にも一つにまとまった時計となります。

時計裏面の開封構造には理由があったんですね~。

そこで、有名なメルセデス・グライツ嬢との広告戦略が登場します。
(かなりボリューム感がある内容になってしまいますので気になる方は是非お調べしてみてくださいね。)

メルセデス・グライツ嬢はドーバー海峡横断中に時計を腕にしたまま
10時間以上も水中で動き回ったのにも関わらず動き続けていたそうです。

ロレックスはその事柄を記事にして、デイリー・メール紙に掲載します。

当時にしてはショッキングすぎる広告を意図して広めたロレックスのセンスを感じる逸話ですね!

Ref.1603 ロレックス 「オイスター・パーペチュアル デイトジャスト ヴィンテージ」

4.時計と戦争

時計の進化と切っても切れないのが戦争という歴史です。
戦争という負の遺産は、反面、時計のみならず数多くの技術的進歩を人類にもたらす結果となります。

こと時計に関しては、時間の正確さは戦時中の作戦の成功に大きくかかわる事象でした。
時間が分からなくて、作戦開始時間に遅刻してきたらそれこそ一大事です…(汗)

イタリア海軍であればパネライ
確実な視認性と、操作性を有したパネライ。
イタリア海軍特殊潜水隊員を乗せた低速潜水艇「シルリ・ア・レンタ・コルサ」
パネリスティの間では通称「豚」と言われています。

その頭文字「S.L.C.」を冠したモデル。

PANERAI ラジオミール S.L.C. 3デイズ PAM00425

各国の空軍へのサプライヤーとして名を成したブライトリング
その中でも有名なのはナビタイマーでしょう。
現在のようにコックピットが電子制御されていない時代です。
アナログの燃料計や高度計、から瞬時に飛行距離を割り出さなければいけないシーンが多くありました。
その時に役立ったのが回転式航空計算尺付きクロノグラフ機能を持ったナビタイマーでした。
時計のベゼルを回転させるだけで、残燃料、速度、などを割り出すことができました。
スプリットセコンド機能を加え現代にその息吹を感じさせるモデルが「ナビタイマー ラトラパンテ」です。

BREITLING ナビタイマー ラトラパンテ 世界限定1000本 A031Q15KBA

5.ハイレベルな技術と芸術品としての世界

2度にわたる大きな戦争という悲劇を経て、その後の時計業界には新しい旋風が世界で巻き起こります。

その立役者が日本の時計メーカー「セイコー」でした。

世界初のクォーツウォッチ「アストロン」を発表し、衝撃を与えます。
いままでゼンマイで動いていたものが、電池で何年も動く、しかも時間の誤差が圧倒的に少ない…

音楽業界で言えばレコードから、CDにとってかわるぐらいのイノベーションでした。

SEIKO アストロン GPSソーラー SBXA019

そして運命的な事象が同時期に起こります。

ゼニスの名器「エル・プリメロ」が生まれた機械式時計部門がクォーツ・ショックを背景に部門売却し撤退という
まさに光と影が交錯する時代でした。

当時の技術者が「エル・プリメロ」の設計図を秘密裏に屋根裏部屋に隠したのは有名な逸話ですよね。

ZENITH エルプリメロ 36000VPH 03.2520.400/69.C713

クォーツ・ショックという時代を経てデジタル時計も進化を進めます。
しかしその流れが、逆に機械式時計がエコノミーや利便性という側面と相反する芸術的志向へと進む扉を開きました。

コスト面や機能性や利便性とはまた違う世界。

機械式時計はそこに存在するだけで価値を生む力を得たのです。
内部構造には超絶技巧が織り込まれ、パーペチュアルカレンダーやムーンフェイズ、トゥールビヨンといった
まさに世界や天体、宇宙構造そのものを腕の小さなケースの中に表現してしまったのです。

その時の時代の変遷が冒頭でご紹介したC.N.W.認定試験へと繋がっていくわけです。

皆さんも少し時計への興味が深まったでしょうか?

最後にトールビヨンとバケットダイヤモンド、パーペチュアルカレンダーという贅沢の極みな時計をご紹介しまして今日はお開きということで…

HARRY WINSTON ミッドナイト トゥールビヨン 世界限定5本 450/MATTZ45W

AUDEMARS PIGUET ロイヤルオーク パーペチュアルカレンダー 26574OR.OO.1220OR.02

時計をお探しの際は、是非お近くのゆきざき各店へも遊びにいらしてください。
きっと、いい時計に巡り合えると思いますよ。

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