【時計職人に聞く】Part.12 時計の心臓、ムーブの洗浄と組み立てします。
第12回のお題目は以下の通り↓↓
1.まずは分解作業から
時計のケースからムーブメント部分を丸ごと外し、作業台の上へ移します。
コマかなパーツを一つ一つ外していきます。 |
順番に小さなパーツも丁寧に外していきます。 |
さらに分解を進めます。 内部の細かなバネ、歯車、小さなネジに至るまで紛失に気を付けながら作業を進めて行きます。 |
分解が完了したら今度は洗浄のための専用ケースにパーツを一つ一つ傷が付かないように載せていきます。 |
ここまでで外してきた細かなパーツを洗浄していきます。時計のケースにはゴムパッキンがかませてあったり、ダイバー仕様の時計であればさらに強固な密封構造になっていますが、実は内部パーツが擦れることによる細かな金属粉や油の劣化などと相まって汚れが溜まっています。これらが精度不良の原因となることも多くあります。
2.洗浄後の組み立て〜注油も忘れずに。
洗浄工程はなかなか見栄えも良くはないのでちょっと割愛します。何かのタイミングでまた特集でもしてみたいと思います。それでは、洗浄後の工程からスタート!洗浄後にパーツをよく乾燥させた状態で進めて行きます。
洗浄をすることで今まで付着していた塵やほこり金属紛と一緒に、パーツの動きを良くするための油も全部綺麗に落ち切った状態になっています。そこで、組み立て工程には各パーツへの的確な注油作業も必要になります。
細かな部品の隙間にも忘れずに注油してきます。
ここまでの作業で組み立て前のパーツの下準備が終わりましたので、ここからは組み立て作業へと入ります。ムーブメントの基盤へ細かなパーツを載せつつ組み合わせていくのですが、その際にも1ミリにも満たない塵やほこりの混入にも気を付けながら作業をしていきます。空気で塵を飛ばしながら気を付けて組み立てしていきます。 |
微細なパーツも向きに気を付けて元の位置に配置していきます。 |
徐々に完成系へと近づいてきました。 |
パーツの収まり方にも細心の注意を払いながら組み立てます。目と手先の感覚で確認しながら微調整していきます。 |
完成までもう少し。あと何個かのパーツを残すのみとなりました。 |
一番最初に外したのパーツを戻すところまで来ました。もう一息です。
ムーブメントの分解洗浄~注油、そして組み立てまで完了です!!
3.分解洗浄まとめ
一言にオーバーホールといいましても、色々な工程が組み合わさってようやく元の時計に組みあがります。特に分解して洗浄した後に「しっかりと精度を保った動きをするのか」というところには最後の最後まで気が抜けない作業となります。長く愛用された時計にはお客様の気持ちもしっかり載っていると思います。修理やメンテナンスに出される際よりも、お手元に戻ってきた際にはさらに愛着を持ってお使いいただけるように、という気持ちで作業をしています。
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前回の記事はコチラ>>>【時計職人に聞く】Part.11 ロレックスのオーバーホールは正規サービスと民間業者どっちを選ぶ?
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