【時計職人に聞く】Part.11 ロレックスのオーバーホールは正規サービスと民間業者どっちを選ぶ?
【時計職人に聞く】Part.11 ロレックスのオーバーホールは正規サービスと民間業者どっちを選ぶ?
数ある時計の中でも群を抜いて人気があるのはやはりロレックスではないでしょうか?
長く愛着のある時計を使っていく中では定期的なメンテナンスは外せません。
今回はそのオーバーホールについてロレックスの正規サービスと民間業者でのサービスにどんな違いがあるのについてお話ししていきたいと思います。
第11回のお題目は以下の通り↓↓
時計職人に聞く】Part.11 ロレックスのオーバーホールは正規サービスと民間業者どっちを選ぶ?
1.ロレックスのオーバーホールのおすすめのタイミングは。
2.正規サービスと民間業者のサービスの違い。
3.値段以外に知っておくと得するポイント。
4.まとめ
1.ロレックスのオーバーホールのおすすめのタイミングは。
オーバーホールというメンテナンスは簡単に言ってしまえば「時計を分解して」→「洗浄して」→「油をさし直す」という作業工程なんですが、この「油をさし直す」というのは時計を長く使い続ける上ではとても大事な工程になります。中には10年以上もの間、なにもお手入れをせずに問題なく使い続けているような方も聞いたことがあります。でも、時計の声を聞けばきっと苦しそうな叫び声でしょう。歯車の軋む音が聞こえてきそうです。。。
ロレックスの公式アナウンスでは10年以内にオーバーホールをしましょう。と謳っています。ですが、普段様々な時計を見ていますと現実的な肌感覚で言えば新品購入から「おおよそ4~5年を目安」に一度メンテナンスをといった感覚が機械式時計全般では良いのではないでしょうか?
それでは実際にオーバーホールのサービス内容についてみていきましょう。
2.正規サービスと民間業者のサービスの違い。
ロレックス購入後に数年経ち、そろそろオーバーホールにも出さないといけないかな~なんて思い始めたタイミングでふと疑問に思うことがあるでしょう。それは「ロレックスに直接持ち込み見てもらうか」、それ以外の選択肢としては「民間業者に見てもらうか」どっちがいいんだろうか?という疑問です。
それぞれのメリット、デメリットがありますので、それでは早速ご紹介していきます。
【メリット】
- ・純正、正規という安心感。
- ・ロレックスの修理明細書が付属して手元に返ってくる。
【デメリット】
- ・納期に時間がかかる。
- ・価格が高い。
何といっても最大のメリットは正規メンテナンスという絶大な安心感です。もともとの製造元で見てもらうことになりますので、例えば部品の交換に必要があった際にもリアルタイムでの製造パーツの提供を受けることができます。作業に使用する工具類に関してもそうですが、長く使用するという価値をロレックスはブランド品質として掲げていますのでそのサービスを100%享受することができます。
そして、修理やオーバーホールが完了して自分の手元に戻ってくる際には「ロレックスの刻印が入った修理明細書」に作業した内容が記載された状態で同封されています。
このようなメリットと反対にデメリットもあります。それは納期が長いという事でしょう。ロレックスは均一なクオリティを担保するために、全国に専用の修理窓口を設けています。修理対応品はこの窓口を経由して修理対応の工房へと時計が運ばれます。要は全国各地からの修理対応品が限られた場所へと集約するということになります。その分順番待ちが発生することもあり得ますので手元に返ってくるまでの時間は比較的長い時間がかかります。また、ロレックスの設定しているオーバーホールの金額としては依頼するモデルや素材の違いによりそれぞれ金額が提示されますが、おおよそ6万~10万円ぐらいの見積になることが考えれらます。
【メリット】
- ・正規より納期が早く仕上がる場合も。
- ・価格がロレックスへ出す場合より安い場合も多い。
【デメリット】
- ・修理技術にバラつきがある。
- ・100%純正のパーツを使っているかはわからない。
民間業者へオーバーホールを依頼する場合の最大のメリットは時間でしょう。高級時計を何本も所有して普段からローテーションしながら色々使ってますよ~という方にはあまり響かないかもしれませんが、もし愛用の時計が1本しかなかったら、オーバーホールへ出している間は使う時計が無くなってしまいますよね?できることなら、なるべく早く修理して自分の手元へ返して欲しいと思うのは私だけではないと思います。通常正規オーバーホールで1カ月~長くて3カ月ぐらいかかる場合もあります。民間業者であればおおよそ1カ月も見れば修理が仕上がってくることも多いと思います。
それと、金額についてもメリットがある場合が多くあります。正規で6万~10万ぐらいが目安でしたが、同じ修理やオーバーホールの内容でも民間業者へ依頼した場合にはもう少し安く仕上がる場合も多くあり得ます。金額を抑えたいと考えている方は一度見積を取ってみるといいかもしれませんね!!
もちろん、正規修理ではないことのデメリットもありますのでお伝えします。それは実際に修理対応をする方が、どんな技術レベルなのかを依頼する側からは分かりにくいという点ではないでしょうか?正規修理であればブランドがその技術も担保していますが、民間業者においてはその技術にバラつきがあるのは知っておいた方が後から失敗した~と思う確率がぐんと少なくなります。民間業者を選ぶポイントとしては在籍の時計修理技術士の保有する資格を確認するというのも一つの手です。時計修理技術士という国家資格がありますので、その資格を保有する資格者が在籍するのかどうかを聞いてから依頼するというのもいいかもしれませんし、窓口で実際にこのモデルはどのぐらいの頻度でオーバーホールや修理をされているのか受付数が多いのかなど聞いてみてしっかりと回答をしてくれるかどうかを確認してみるのもいいと思います。もう1点はパーツ交換が必要になった際の対応です。基本的にはロレックスの内部パーツは流通量もありますのでほぼロレックスのパーツを手に入れて修理することが大部分だと思われますが、中にはアンティークすぎて手に入らない、または代用品があるのでそれで対応してしまうということも可能性としてはゼロではありません。その辺のリスクも加味しながら金額を安く抑えていきたいというのであればいい選択をできると思います。
3.値段以外に知っておくと得するポイント。
ロレックスへ修理を依頼したときに付随してくる修理明細書には別の側面の意味もあります。
それは、ロレックスがこの時計はロレックスの純正品で間違いないですよ~。というお墨付きを与えているという面です。
例えば、中古のロレックスが手元にあったとして、ロレックスへ修理に持ち込んだとします。その時に内部パーツが意図しなくともロレックス純正品ではなく社外品などに交換されていた場合はロレックスは修理受付をしてくれません。つまりは内部にロレックス以外の手が入っていると明らかに確認できる場合にはブランド保証を与えませんよという意味でもあります。ロレックスが修理を受理しその修理明細書を発行した時点でこの時計は間違いなく本物のロレックスですよという真贋の判断の効力もあるのは事実ですので知っておくといいと思います。
長期所有で、今後売却などを考えている際にはこの修理明細書が付属していることで査定が変わってくるということも可能性としてはあり得ますのでご参考までに。
4.まとめ
【メリット】
・純正、正規という安心感。
・ロレックスの修理明細書が付属して手元に返ってくる。
【デメリット】
・納期に時間がかかる。
・価格が高い。
【メリット】
・正規より納期が早く仕上がる場合も。
・価格がロレックスへ出す場合より安い場合も多い。
【デメリット】
・修理技術にバラつきがある。
・100%純正のパーツを使っているかはわからない。
正規へ依頼する場合も、民間業者へ依頼する場合もどちらが必ずいいということでもなく、それぞれ一長一短あります。
ご自身が所有する状況によってベストな選択をする一つの情報となり得れば私たちも大変嬉しく思います。
疑問が残る、こんなこと質問してみたいな~などもしありましたら下記(ご相談はコチラからどうぞ。)より私どもへも是非ご相談くださいませ。
前回の記事はコチラ>>>【時計職人に聞く】Part.10 ロレックス デイトナ の文字盤の種類とフォント比較。
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