ブレゲ針とブレゲ数字とは?高級時計に込められた歴史と技術を解説
ブレゲは、世界五大時計ブランドの一つとして知られる、独自性の高いデザインが人気のメーカーです。イギリスのヴィクトリア女王やフランス王妃のマリー・アントワネット、フランス皇帝ナポレオンなど、多くの歴史的著名人からも愛されてきました。
本記事では、ブレゲの歴史や、ブランドを代表する技巧であるブレゲ針・ブレゲ数字について解説します。ぜひ時計選びの参考にしてみてください。
ブレゲとは
ブレゲは、1775年にフランスのパリで誕生した高級腕時計ブランドです。創業者は、スイス出身の時計技師であるアブラアム・ルイ・ブレゲ。現代の腕時計にも採用されている「トゥールビヨン」や「パーペチュアルカレンダー」といった数々の機構を生み出したことから「時計界のレオナルド・ダ・ヴィンチ」とも称され、腕時計の歴史を語る上では欠かせない人物です。
ブレゲの腕時計には、独自にデザインされた「ブレゲ針」や「ブレゲ数字」をはじめとする特徴的な技巧がいくつも施されています。その造形美と優れた時計製造技術によって、多くの愛好家たちの心を虜にしてきました。個体ごとに識別番号が割り当てられているため、唯一無二のステータス性を感じられる点も魅力といえるでしょう。
ブレゲの歴史
パリ市内のシテ島に構えた工房から始まったブレゲは、次々と革新的な発明を世に送り出していきます。
創業から5年後の1780年には、自動巻き上げ機構である「ペルペチュエル」の実用化に成功。1783年にはゴングの音で時刻を知らせる「ミニッツリピーター」、1790年には衝撃を軽減させる「パラシュート機構」を開発し、時計業界の発展に大きく貢献しました。
特に、ペルペチュエルの実用化は高く評価され、ヨーロッパの王侯貴族にも名が知れ渡るようになります。その後の活躍も目覚ましく、1795年に「パーペチュアルカレンダー」、1801年には「トゥールビヨン」といった現代まで受け継がれる機構を開発。世界初といわれる腕時計がナポリ王妃のために製作されたのもこの時代です。
創業者アブラアムの死後は弟子たちが跡を継いだものの、以降の話題性は乏しく、1970年にフランスの宝石細工商に買い取られたことにより本格的に復興を開始。1999年からはオメガなどを擁するスウォッチ・グループの傘下に入っており、業績も安定しています。
ブレゲ針とは
ブレゲの腕時計が持つ代表的なデザインに、独自に考案されたブレゲ針があります。ブレゲ針が誕生したのは1783年で、針の先端寄りの位置に穴の開いた丸い膨らみが施されている点が特徴です。
それまでの時計の針は、太く短い形状に過度な装飾を施したものが主流でした。しかし、長針と短針が重なったり、針が数字の上に来たりすると、正確な時刻を読み取りにくくなるデメリットがありました。
ブレゲ針は、丸い穴が開いているため、針が重なってしまったときも、問題なく時刻を読み取ることが可能です。また、目線を文字盤の外側にある数字へ向けやすくなるという合理性も備えています。
ブレゲ数字とは
ブレゲ数字もブランドを代表するデザインの一つです。こちらも考案されたのは1783年で、流れるように柔らかなラインのアラビア数字をやや傾斜させた書体となっています。
かつてのヨーロッパでは、時計だけではなく公的書類に至るまでほぼ全てのものにローマ数字が使われていました。そのため、異国から伝わったアラビア数字は、当時の社会ではなかなか受け入れられなかったようです。
そうした状況下でも、創業者のアブラアンは新しいデザインを生み出すためにアラビア数字を積極的に採用。現在でもこの書体の人気は高く、ブレゲ以外のブランドでも数多く見ることができます。
ブレゲが開発した独自の機構
ブレゲが時計業界にもたらした功績は、デザインのみにとどまりません。独自に開発・実用化に成功した機構も多数あり、現代の腕時計にもその技術は受け継がれています。ここでは、ブレゲの代表的な機構について見ていきましょう。
ペルペチュエル
現代の高級腕時計の多くに採用されている自動巻き機構。ムーブメントに付けられた分銅が振動することでぜんまいが巻き上げられ、半永久的に稼働する仕組みとなっています。
この機構の実用化に世界で初めて成功したのがブレゲです。自動巻き機構そのものは、すでに他の時計職人によって発明されていたものの、信頼に足る仕組みへと改良したことにより、ブレゲの名声は一気に高まりました。
ちなみに、ペルペチュエルはフランス語で「永久の、永続的な」を意味し、英語ではパーペチュアルと表現されます。
トゥールビヨン
ブレゲが創業した時代は、多くの人が外出先などで時刻を確認するために懐中時計を持ち歩いていました。しかし、懐中時計はポケットにしまっている時間が長く、ムーブメントにかかる重力に偏りが生じることから、時計の精度が落ちるという問題を抱えていました。
そこで、ブレゲは脱進機全体を一つにまとめ、歯車の回転を一定速度に保つ仕組みを開発。重力の影響を最小限に抑えることに成功し、この仕組みをトゥールビヨンと呼びました。
フランス語で「渦」を意味するトゥールビヨンは、1801年にブレゲが特許を取得。そこから2世紀が経過した現代でも、精度や芸術性の高さから機械式時計における最高峰の機構として君臨し続けています。
ミニッツリピーター
文字盤を確認しなくても、時計に内蔵されたハンマーが鐘を叩く音で現在の時刻を知らせてくれるミニッツリピーター。ブレゲは既存の仕組みに改良を重ね、ムーブメントの外周に配置した板バネを叩くことで音を発する「ゴング式」の機構を発明しました。
ゴング式のミニッツリピーターは、繊細で澄んだ音色を奏でられるほか、小型化にも成功したことから瞬く間に人気を獲得。他のブランド時計の多くにも採用されることとなります。
パーペチュアルカレンダー
パーペチュアルカレンダーは、永久カレンダーとも呼ばれる機構です。通常のカレンダー機能の場合、月によって30日、31日とそれぞれ異なる日数を月初めに手動で調整する必要があります。一方、ブレゲが発明したパーペチュアルカレンダーは、日付のずれを自動で補正し、うるう年にも対応している点が特徴です。
ブレゲの人気モデル5選
ブレゲの腕時計は歴史が長く、特徴的なデザインのモデルが数多くあります。ここでは、特におすすめのアイテムを5つ紹介しますので、時計選びの参考にしてください。
ブレゲ マリーン 5517BR/12/5ZU
ブレゲの「マリーン 5517BR/12/5ZU」は、ブランドの歴史と職人技が見事に融合した逸品です。このモデルは、フランスの名門時計メーカーであるブレゲがかつて海軍御用達の称号を授かった際に製造していた、精密なマリン・クロノメーターへのオマージュとして誕生した「マリーン」シリーズの一つです。
一見するとシンプルな印象を与えるこの時計は、その中にブレゲならではの高度なデザインと技術が凝縮されています。文字盤に施された波模様のギョーシェ彫りは、海の力強さと美しさを象徴するディテールとして目を引くでしょう。この精緻な装飾に加え、ブレゲのアイコンともいえる繊細なブレゲ針が全体に上品な表情を与えています。さらに、秒針には国際海洋信号旗をモチーフとしたデザインがあしらわれ、細部に至るまでブランドの海への情熱が感じられます。
ケースは洗練されたローズゴールド製で、ラバー素材のストラップがスポーティーさと快適なフィット感を提供。これにより、日常使いのカジュアルなシーンからビジネスシーンに至るまで、幅広い場面でその存在感を発揮します。
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ブレゲ マリーン クロノグラフ 5527BR/G3/5WV
ブレゲ マリーン クロノグラフ 5527BR/G3/5WVは、マリーンシリーズの中でも際立った存在感を放つモデルです。スポーティーな要素を取り入れながらも、ブレゲならではの伝統と優雅さを見事に融合させています。
このモデルの特徴的なブラック文字盤には、海をイメージした波模様のギョーシェ彫りが施され、深みのある表情を作り出しています。ギョーシェ彫りの繊細な装飾は、熟練の職人による手作業で一つひとつ丁寧に仕上げられており、高級時計としての品格をさらに引き立てます。
また、伝統的なブレゲ針と、国際海洋信号旗をモチーフにした秒針のデザインが、海洋をテーマとしたモデルの個性を強調。さらに、数字やインデックスには蓄光塗料が採用されており、暗い場所でも優れた視認性を確保しています。このような細部にわたるデザインのこだわりは、ブレゲの卓越したクラフトマンシップと、ブランドの革新性を示すものです。
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ブレゲ タイプ XX 2067ST/92/3WU
ブレゲ タイプ XX 2067ST/92/3WUは、フランス海軍航空部隊のために開発された歴史あるモデルからインスピレーションを受けた逸品です。1950年代から1960年代にかけて民間向けに展開された「タイプ XX」の系譜を受け継ぎながら、現代的な洗練さを加えたデザインが特徴となっています。
ブラック文字盤には、クロノグラフ機能として2種類の積算計とスモールセコンドがバランス良く配置され、機能性と視認性の両立が図られています。また、針やインデックスに施されたアイボリーカラーの蛍光塗料が、クラシックな雰囲気を醸し出しつつ、暗所でも優れた視認性を提供します。これにより、実用性が一段と高まっています。
さらに、4時と5時の間にはデイト表示の窓が巧みに配置され、日常使いにおける利便性も考慮されているのが魅力です。その一方で、力強さを感じさせるデザインは、航空機をイメージさせる精悍さを持ち、空の旅へのロマンを思い起こさせます。
2067ST/92/3WUは、過去の名作に敬意を払いながらも、現代の時計愛好家の期待に応える仕様が盛り込まれたモデルです。タイムレスな魅力と機能美を兼ね備えたこのモデルは、時計ファンにとって特別な一本となるでしょう。
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ブレゲ マリーン 5527TI/G2/5WV
ブレゲのマリーン 5527TI/G2/5WVは、ブラックとシルバーを基調とした落ち着きあるデザインが特徴的なモデルです。この時計は、ブレゲの象徴ともいえる美しいブレゲ針や、国際海洋信号旗をあしらったダイアルデザインなど、伝統的なマリーンシリーズの美学を継承しつつも、現代的な要素を巧みに融合させています。その結果、スタイリッシュで洗練された雰囲気を放つ、大人のための一本に仕上がっています。
また、このモデルには、改良を重ねてきたブレゲ自慢のムーブメントが搭載されており、48時間のパワーリザーブを備え、信頼性と実用性を両立しています。
クロノグラフ機能を持つこの時計は、3つのサブダイヤルによって時刻や計測の視認性を高めており、100mの防水性能も兼ね備えることで、日常使いからアウトドアシーンまで幅広く対応可能です。
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ブレゲ クラシック トラディション 7057BB/G9/9W6
ブレゲ クラシック トラディション 7057BB/G9/9W6は、ブレゲの歴史と技術を象徴するモデルの一つです。「トラディション」シリーズは、創業者アブラアン=ルイ・ブレゲが発明した懐中時計のムーブメントを現代の腕時計へと昇華させたもの。その中でも7057BB/G9/9W6は、優雅なホワイトゴールドのケースと複雑な機構が融合した逸品です。
このモデルの最大の魅力は、スケルトン仕様の文字盤です。時刻を確認しながら、内部のムーブメントが動く様子を間近に楽しむことができます。また、ブレゲ独自の「パラシュート機構」による衝撃吸収と、「可変慣性テンプ」がもたらす高い精度は、ブランドが培った技術の結晶です。さらに、裏蓋にもシースルーバックが採用されているため、時計の構造美を裏表両面から堪能できます。
クラシックなデザインの中に現代的な遊び心を取り入れた7057BB/G9/9W6は、時計の芸術性を味わいたい大人のための特別なタイムピースです。その存在感は手首を飾るだけでなく、着用する人の個性と品格をも引き立てることでしょう。
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ブレゲは高い技術力と独自のデザインが魅力のブランド
ブレゲは高級腕時計メーカーとして長い歴史を持ち、有名ブランドの腕時計にもブレゲが発明した技術や独自の書体が使われるほどの影響力を残しています。
伝統を重んじるばかりではなく、現代の技術を積極的に取り入れる精神性も併せ持ち、常に進化し続けているブランドです。ぜひブレゲのアイテムを手にとってみてはいかがでしょうか。
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