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ヴァシュロン・コンスタンタンとは?歴史・魅力・代表モデルまで徹底解説

世界三大時計ブランドの一つに数えられるヴァシュロン・コンスタンタン。高級時計ブランドの中でも雲の上の存在として知られ、長い歴史の中で培われてきた技術や実績の数々が世界中で高く評価されています。

本記事では、そんなヴァシュロン・コンスタンタンの歩んできた軌跡を振り返ると共に、人々が惹きつけられる理由や代表モデルなどについて詳しく解説します。

ヴァシュロン・コンスタンタンについて詳しく知りたい方は、ぜひ参考にしてください。

ヴァシュロン・コンスタンタンとは


ヴァシュロン・コンスタンタンは、パテック・フィリップやオーデマ・ピゲと並ぶ世界三大時計ブランドの一つです。名だたる競合ブランドがひしめく時計産業の本場、スイスのジュネーヴ州に本社を構えています。

厳格な時計規格として知られる「ジュネーヴ・シール」をクリアする優れた技術力に加え、1755年の創業から一度も歴史を途切れさせることなく紡いできた実績などから、高級時計ブランドにおける名門中の名門として「雲上ブランド」と評されるほど。

メゾンの職人たちの志も高く、限定の一点ものや究極のキャリバーを製作することを自らの使命に掲げ、日々邁進しています。

こうした時計製作への情熱が多くの人を魅了し、世界の王侯貴族やセレブを中心に愛されてきたブランドなのです。

ヴァシュロン・コンスタンタンの歴史


ヴァシュロン・コンスタンタンの時計製造の歴史は試行錯誤の積み重ねであり、常に探求を続けてきました。ここでは、ヴァシュロン・コンスタンタンの創業から現在までの長い歴史を確認していきましょう。

1755年にスイスで創業

ヴァシュロン・コンスタンタンは、時計師であるジャン=マルク・ヴァシュロンが24歳の時にジュネーヴの中心街サン=ジェルヴェに工房を開いたことで、その歴史が始まりました。世界三大時計ブランドの中でもひときわ長い歴史を誇り、彼が初めて弟子を雇い入れた際の契約書は世界最古のブランドである証拠となって、現在も大切に保管されています。

二代目として工房の経営を引き継いだのは、ジャンの息子であるアブラアン・ヴァシュロン。彼の時代はフランス革命やジュネーヴ併合など、動乱の最中にありました。そんな状況下にあっても工房を守り続け、ブランドにとって初となるオープンフェイスの懐中時計を発売するなど、実績を積み重ねながら次代へとつなげていきます。

1810年には、創業者ジャンの孫であるジャック・バルテルミー・ヴァシュロンが三代目を引き継ぎました。

フランソワ・コンスタンタンとの出会い

工房の経営者となったジャック・バルテルミー・ヴァシュロンは、向上心に溢れる人物でもありました。製作された時計の販路を、これまでのスイス国内のみならず、近隣国であるフランス、イタリアへと積極的に拡大していきます。輸出業を手掛ける中で、やがてジャックはブランドの転換点となる人物と出会います。

彼が出会ったのは、同じくジュネーヴ出身で商人をしていたフランソワ・コンスタンタン。意気投合した二人は共同経営者となり、社名を自分たちの名前を組み合わせた「ヴァシュロン・コンスタンタン」に変更。現在まで続くブランド名が誕生したのは、1819年のこの瞬間でした。

フランソワが経営に加わったヴァシュロン・コンスタンタンは、時計の輸出先をさらに広げ、海を隔てたアメリカやメキシコ、果てはアジアにまで進出。世界的なブランドへと成長させていくのでした。

1996年にはリシュモングループ傘下に

共同経営となったヴァシュロン・コンスタンタンは次々に目覚ましい発展を遂げ、1880年にブランドを象徴するアイコンに「マルタ十字」を採用、1906年にはブランド初のブティックをオープンさせました。

顧客層も錚々たる顔ぶれであり、ルーマニアのマリア王妃をはじめ、小説家ヘンリーと哲学者ウィリアムのジェイムズ兄弟、フランス皇帝ナポレオン・ボナパルトの弟の子孫などが挙げられます。

1996年には、カルティエやA.ランゲ&ゾーネといった著名ブランドを擁する巨大コングロマリット、リシュモンの傘下に入ります。そこではマーケティングや経営戦略などの面が強化され、現在では世界三大時計ブランドと呼ばれるまでになりました。

ヴァシュロン・コンスタンタンの腕時計の特徴


ヴァシュロン・コンスタンタンの腕時計には、長い歴史の中で培われてきた数々の特徴があります。ここでは、主なものを3つ紹介していきます。

シンボルマークであるマルタ十字

ヴァシュロン・コンスタンタンの時計は、デザインの中にブランドを象徴するマルタ十字のアイコンが配されているのが特徴です。

マルタ十字とは、中世ヨーロッパ時代に活躍したマルタ騎士団が用いていたシンボルマークのことです。先端に向かってそれぞれ幅が広くなる十字マークと、その8つの角を尖らせたフォルムが特徴的であり、かつて香箱に使用していた部品の形状がマルタ十字に酷似していたことから採用されました。

マルタ十字はヴァシュロン・コンスタンタンによって1880年にスイスで商標登録され、現在は文字盤やリューズ、ラグなどにあしらわれています。

高度な時計製造技術

時計の品質や信頼度を示す「ジュネーヴ・シール」は、世界最高水準の規格であることでも知られています。ヴァシュロン・コンスタンタンは規格の制定後から間もない1901年にジュネーヴ・シールを取得し、以降も認定を受け続けている数少ないブランドです。

その類稀なる技術力はブランドの長い歴史に裏打ちされるように、仕上げの美しさや細かな作り込み、搭載される複雑機構の正確さにも反映されています。

かつて、屋根裏部屋で時計製作に勤しんでいたことから「キャビノティエ」と呼ばれた時計職人の魂が、しっかりと受け継がれているのです。

卓越した工芸技術

ヴァシュロン・コンスタンタンの魅力は、高度な技術力だけでなく、卓越した芸術性にもその手腕が活かされていることです。

機械式時計の黎明期から引き継がれてきた伝統的な技法によって生み出される時計は、歴史的な偉人をはじめとして、最高の時計を求める多くのファンから愛されてきました。繊細な彫刻やエナメル加工、ジェムセッティングなど、どの時計・パーツにも熟練の職人の丁寧な仕事を感じることができます。

過去に起こった世界的な不況や大戦などにより、多くのブランドが操業停止に追い込まれる中で、決して歩みを止めることがなかったヴァシュロン・コンスタンタン。その間に作られたモデルもまた、ヴィンテージ時計として時を越えた美しさを湛えています。

ヴァシュロン・コンスタンタンの代表的なコレクション


ヴァシュロン・コンスタンタンの時計は、どれも魅力や個性に満ちています。ここでは、代表的なコレクションを5つご紹介します。

パトリモニー

パトリモニーは、機械式時計が最盛期を迎えた1950年代のモデルを参考に、現代風にブラッシュアップして2004年にリリースされたドレスウォッチのコレクションです。

ディスプレイはシンプルで、細身のバーインデックスにペンシル針という組み合わせは、パトリモニーに共通するデザイン。機能を最小限に抑えたモデルから、ミニッツ・リピーター、パーペチュアルカレンダーなどの複雑機構を搭載したものまで、幅広くラインナップされています。

シンプルでありながら高度な技術力が感じられ、伝統的なスイス時計の息吹を感じさせてくれるコレクションです。

オーヴァーシーズ

オーヴァーシーズは、1996年に発売されたラグジュアリースポーツウォッチのコレクションです。

優れた防水性能や対磁性能といったスポーツウォッチに欠かせないスペックに加え、シーンや気分に応じてストラップを簡単に交換できるインターチェンジャブル・システムを採用するなど、実用性とエレガンスを兼ね備えています。

現行モデルのベゼルは、表面に歯車を思わせる6箇所の凹凸がデザインされているのが特徴的。「旅のスピリット」を表現したコレクションであり、裏蓋には方位図を模した刻印が施されています。

トラディショナル

1930年代~1950年代のモデルにスポットを当て、伝統的なデザインを踏襲しつつ新たな解釈を加えて現代に再現したトラディショナル。

フラットなベゼルやラグにバーインデックスを採用するというクラシカルな出で立ちながらも、文字盤の外側に描かれたレイルウェイによってモダンで機械的な印象を付け加えています。

先に紹介したパトリモニーも似たようなコンセプトを掲げていましたが、最大の違いはトラディショナルの機能やデザインにおけるバリエーションの豊かさ。トゥールビヨンやムーンフェイズなどの複雑機構を搭載したモデルが多く、装飾も幾分ゴージャスな雰囲気を纏っています。

フィフティーシックス

アイコニックなモデルとして親しまれた「Ref.6073」からインスピレーションを得て作られたフィフティーシックス。ベースとなったモデルが1956年に発売されたことから、その名が付けられました。

文字盤を同心円で分割したセクターダイヤルに、ユニークなデザインのアラビア数字と存在感のあるバーを織り交ぜたインデックスが特徴。ケースの硬質な佇まいの中にも、他のコレクションにはないマルタ十字を忍ばせたデザインが特別感を与えてくれるでしょう。

近年の価格高騰に対応するため、一部ジュネーヴ・シールを取得していないモデルが存在するものの、独自の厳しい検査をクリアしているので品質に違いはありません。

ヒストリーク

ヒストリークは、過去に発売された銘品を現代に蘇らせるというコンセプトのもと、現代の技術と価値観を融合させて作られたコレクションです。

どのモデルも名前の最後に数字が添えられているのが特徴であり、これはモチーフとなった時計の発売年を表しています。

伝統を踏襲したデザインを楽しめるのも一つの在り方ですが、当時の世相や流行など、その時計を作るにあたって職人が込めた思いに想像を巡らせることができるのも、このコレクションの醍醐味。長い歴史を持つヴァシュロン・コンスタンタンだからこそ、為せる業といえるでしょう。

ヴァシュロン・コンスタンタンのおすすめモデル5選


ここからは、ヴァシュロン・コンスタンタンの数多くのコレクションの中から、おすすめのモデルを紹介していきます。購入を検討している方は、ぜひ参考にしてみてください。

オーヴァーシーズ ブティック限定 4600V/200A-B980

ステンレススチール製のケースに、深みのあるブルーのサンバースト文字盤を組み合わせた「4600V/200A-B980」は、洗練されたクールな印象を放つ1本です。光の角度によって表情を変える文字盤は、太陽の光を受けてきらめく水面のように輝き、腕元に上質な存在感を与えます。

ケース径34.5mmという絶妙なサイズバランスは、男性にも女性にも自然にフィットし、幅広い装いに馴染むユニバーサルな魅力を備えています。立体的に構築されたインデックスと時分針にはスーパールミノヴァが施されており、暗所での視認性も申し分ありません。150mの防水性能に加え、優れた耐磁性を有するなど、日常使いにおいても高い実用性を発揮します。3時位置のデイト表示も、実用時計としての完成度を高めています。

さらに、ステンレス製ブレスレットに加えて、カーフレザーおよびラバー製の付け替え用ストラップが付属。フォーマルからカジュアルまで、その日の気分やシーンに合わせたスタイリングを自由に楽しめる点も、このモデルの大きな魅力です。

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オーヴァーシーズ クロノグラフ ブティック限定 5520V/210R-B952

18Kピンクゴールドのケースが気品と華やかさを纏う「5520V/210R-B952」は、深みのあるブルー文字盤とのコントラストが際立つクロノグラフモデルです。その美しい配色が生み出す存在感は、腕元に確かな個性とラグジュアリーな輝きを添えます。

ダイヤルには、異なる仕上げを施した2層構造のミニッツトラックが配されており、視覚的な立体感と奥行きを演出。インダイヤルは文字盤の下半分にバランスよくレイアウトされ、4時30分位置にはデイト表示も備えられています。デザイン性と機能性を両立させた構成により、実用的なクロノグラフとしての完成度を高めています。

裏蓋はシースルー仕様となっており、22Kゴールド製のローターが優雅に回転する様子を鑑賞できるのも、機械式時計ならではの醍醐味。ローターには方位図を模した繊細な装飾が施され、細部に至るまで美意識が行き届いています。

また、付け替え可能な3本のストラップが付属しており、シーンやスタイルに応じて自在にアレンジできる点も魅力です。高い実用性と贅沢な素材使いが融合した、格調高い1本といえるでしょう。

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トラディショナル 43178/000R-9363

文字盤と裏蓋の両面がスケルトン仕様となった「43178/000R-9363」は、ムーブメントの精緻な動きを余すところなく堪能できる、機械式時計愛好家にとって至高の1本です。インデックスや表記を極限まで抑えることで、複雑に構成された内部構造の美しさが一層際立ち、眺めるたびに新たな発見と感動をもたらしてくれます。

香箱を覆う蓋には、ブランドの象徴であるマルタ十字が繊細にあしらわれており、機能美と意匠性が見事に融合。そこからは、巻き上げられたゼンマイの動きまでも視認でき、職人技の粋が随所に感じられます。

18Kピンクゴールドのケースと、スケルトン構造から覗くゴールドパーツのきらめきが調和し、手元に華やかな印象を添えると同時に、タイムピースとしての格別な存在感を放ちます。芸術品のような機械美とブランドの哲学が融合した、真に贅沢なタイムピースといえるでしょう。

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パトリモニー マニュアルワインディング 1110U/000G-B086

シンプルで洗練された佇まいが際立つ「1110U/000G-B086」は、ヴァシュロン・コンスタンタンの伝統的な美意識を体現する“パトリモニー”コレクションの名にふさわしい1本です。無駄を削ぎ落とした端正なデザインの中に、時計製造の本質を追求する精神が息づいています。

シルバーカラーの文字盤には、オパーリン加工が施されており、わずかに乳白色を帯びた柔らかなトーンが、気品ある印象を引き立てます。外周に向かってなだらかにカーブを描く文字盤のフォルムが視覚的な奥行きを生み出し、ドット状のミニッツトラックが控えめながらも上質なアクセントとなっています。

6時位置にはスモールセコンドを配置し、クラシカルな趣を添えると同時に、時刻表示にリズムを与えています。ムーブメントは手巻き式で、約3日間のパワーリザーブを備えており、実用性と伝統的なメカニズムへのこだわりを両立。

普段の装いにはさりげない品格を、フォーマルなシーンには格調高い存在感を添える、まさにタイムレスなエレガンスを備えた逸品です。

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フィフティシックス オートマティック 4600E/110A-B487

レトロモダンな趣を漂わせる「4600E/110A-B487」は、1956年に発表された「Ref.6073」からインスピレーションを得て誕生した“フィフティーシックス”コレクションの1本です。マルタ十字を現代的に解釈したラグの造形や、個性際立つインデックスデザインなど、伝統を受け継ぐディテールが随所に息づいています。

ケース背面はスケルトン仕様となっており、マルタ十字をあしらったローターが優雅に回転する様子を眺めることができます。文字盤では、二重に刻まれたミニッツトラックが奥行きある表情を演出し、3時位置にはデイト表示がスマートに配置されています。

ステンレススチール製のブレスレットには、快適な装着感を実現する「イージーフィット・システム」が搭載されており、最大で4mmの微調整が可能。着用感にこだわる方にも高い満足感をもたらします。

主張しすぎない端正なデザインは、ビジネスシーンにもカジュアルスタイルにも自然に馴染み、シーンを問わず活躍してくれるユーティリティ性の高いタイムピースです。

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ヴァシュロン・コンスタンタンは高度な製造技術と工芸技術が魅力のブランド


ヴァシュロン・コンスタンタンは、およそ270年にも及ぶ長い歴史の中で培われてきた技術力や伝統的なデザインが魅力であり、信頼性やステータス性においても他の高級腕時計ブランドとは一線を画しています。

雲上ブランドということもあって気軽に手が出せないと考える方も多いかもしれませんが、人生の中でとっておきの逸品を側に置いておきたいと考えている方は、この機会にヴァシュロン・コンスタンタンの珠玉の1本を探してみてはいかがでしょうか。

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この記事の監修者

佐藤高雅(さとうたかまさ)
株式会社ジェムキャッスルゆきざき ECソリューション室副室長

1996年生まれ。高校在学中に煌びやかな高級腕時計やジュエリーに興味を持つ。
大学在学中に某日本メーカ時計正規店でアルバイトを経験し卒業後、店舗販売員として2019年ジェムキャッスルゆきざきに入社。
3年間販売員を経験した後、時計の知識や文章力を買われECソリューション室へ異動。
以後ゆきざきサイトの文章やブログ記事、デザイン関連を統轄しており、メディア広報室立ち上げ時にはYouTubeレギュラー出演やニュース番組、中国系SNSにも出演する。

初めて購入した腕時計は、23歳でブレゲのマリーン2。
婚約時計はペアでジャガールクルトのレベルソ。
ランゲ&ゾーネ ランゲ1を手に入れるものの、自分には早すぎたと手放す。
40歳になったら記念で購入予定(理想)
好きなブランドは、ジャガールクルト・ランゲ&ゾーネ・FPジュルヌ。時計業界歴7年。

■経歴
2019年 株式会社ジェムキャッスルゆきざき/新卒
2021年 メディア広報室/設立
2022年 ECソリューション室/副室長
■得意領域
WEBライター
高級腕時計全般
■保有資格
Google アナリティクス認定資格(GAIQ)
ジュエリーコーディネーター




       
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