パイロットウォッチの特徴|人気ブランドのおすすめモデルも紹介
パイロットウォッチには、ほかの腕時計にはない特別な機能が数多く搭載されています。実用性が高く多機能であることから、時計愛好家からも長く愛されている魅力的な腕時計です。
さまざまなブランドがパイロットウォッチを製造していますが、それぞれ特徴が異なるため、どのように選べばよいか迷ってしまう方もいるでしょう。
そこでこの記事では、パイロットウォッチの特徴やおすすめのブランドについて紹介します。
パイロットウォッチとは
パイロットウォッチとはその名の通り、飛行機の操縦者であるパイロットのために作られた腕時計です。視認性が高く頑丈なケースが特徴で、多くのモデルにパイロットをサポートする航空用の機能が搭載されています。
しかし、パイロットウォッチの明確な定義はありません。ダイバーズウォッチのような標準規格がなく、各ブランドが自由に「パイロットウォッチ」として売り出せるため、それぞれ特色が異なります。
そうしたなか、2016年の3月にドイツの時計ブランド「ジン」から、「DIN8330」というパイロットウォッチの工業規格が発表されました。まだ一般化されていませんが、一つの基準として知っておくとよいでしょう。
パイロットウォッチの歴史
世界で最初のパイロットウォッチは、1904年にカルティエが製造した「サントス」といわれています。当時の腕時計は、懐中時計にベルトをつけただけの簡素なものでしたが、飛行家のアルベルト・サントス・デュモンが、はじめから腕につけることを前提とした時計の製造を依頼して実現しました。
1906年にヨーロッパで腕時計をつけたまま動力機で飛行することに成功し、1911年には一般向けに販売を開始します。そして、第一次世界大戦後の航空機の発展に伴い、パイロットウォッチの需要が高まったことで、多くのブランドが製造を始めました。
また、1928年にはスイスの腕時計メーカーであるロンジンが、秒単位の計測ができる機能を搭載した「ウィームス セコンドセッティング ウォッチ」を発表します。さらに、1931年には太陽の角度を測定する回転ベゼルを備えた「リンドバーグ アワーアングル ウォッチ」が登場しました。
その後も、1936年にIWCが「スペシャル・パイロット・ウォッチ」、1942年にブライトリングが「クロノマット」などを次々と発表し、現在に名を残す名作が誕生しています。
パイロットウォッチの主な特徴
パイロットウォッチは実用性が高く、ほかの腕時計にはない機能が搭載されています。ここからは、パイロットウォッチの主な特徴を3つ紹介します。
さまざまな状況に対応できる頑丈な作り
パイロットウォッチは航空時の使用を想定しているため、あらゆるストレスに耐えられるよう頑丈に作られています。
航空機に搭載されている機械の多くが磁気を発生させるものであるため、普通の腕時計では磁気の影響で時間が狂うことも少なくありません。そのため、パイロットウォッチには高い耐磁性が備わっています。
また、上空を飛ぶことで起こる急激な温度や気圧の変化にも耐えられる耐気圧性があり、離着陸時の揺れや衝撃、重力にも耐えられる強靭さが特徴です。正確な時間を表示する精度の高さと、飛行中に壊れない優れた耐久性は、多くの方に支持されています。
航空機の計器の代わりになる機能がある
パイロットウォッチには、日常生活ではあまり使う機会がない回転ベゼルや、航空用回転計算尺といった機能が搭載されているモデルが多くあります。もちろん航空機にはいくつもの計器が備わっていますが、万が一故障してしまった際には、パイロットウォッチの計器によってサポートも可能です。
回転ベゼルでは、現地時間を表示したり、時間を計測したりできます。この機能はパイロットでなくても、海外旅行の際や海外の人と連絡を取る際に便利です。
また、航空用回転計算尺は、速度や燃費を計算でき、キロやマイル、海里などの単位換算も簡単に行えます。一般の人であれば、実際に使用する場面はあまりないかもしれませんが、昔から使用されている航空計算尺を応用して作られているため精度は抜群です。
視認性の良いデザイン
パイロットが瞬時に時間を確認できるように、パイロットウォッチには視認性を高める工夫も施されています。数字は大きくてわかりやすいフォントが採用され、インデックスや針は大きくデザインされているのが特徴です。
また、夜間や暗い場所でも時間を確認できるように、針は蛍光塗料でコーティングされています。ガラスケースには反射防止の加工が施され、日中の強い日差しのなかでも時刻をはっきりと確認することが可能です。さらに、リューズを大きめに作ることで操作性を高めているモデルも多く、機内でグローブをしているパイロットには魅力的な配慮です。
代表的なパイロットウォッチブランド5選
代表的なパイロットウォッチのブランドと、おすすめのモデルを5つ紹介します。各ブランドで搭載されている機能が異なるため、デザインだけではなく機能性にも注目してみてください。
IWC
IWC(インターナショナル・ウォッチ・カンパニー)はスイスの高級時計メーカーで、1868年に創立されました。創立当初はアメリカ市場をターゲットとした高品質な懐中時計の製造を目指していましたが、1899年にIWC製のはじめての腕時計が登場し、1936年に初のパイロットウォッチを発表します。
初代スペシャル・パイロット・ウォッチは、離陸時間をセットする回転式ベゼルと耐磁性を備えていました。現在のパイロットウォッチの代表格ともいえるIWCは、ミリタリーテイストで無骨なデザインが特徴で、世界でも高い評価を得ています。
パイロットウォッチ クロノグラフ 41 IW388104
パイロットウォッチ クロノグラフ 41 IW388104は、伝統的なコックピットデザインを現代的に再解釈した逸品です。
ケースは41mmの適度なサイズで、耐久性に優れたステンレススティール製です。文字盤は深みのあるグリーンカラーで、高級感と視認性を兼ね備えています。裏蓋はシースルーバックで、IWC独自の自動巻きムーブメントを目にできるでしょう。このムーブメントは、46時間のパワーリザーブを持ち、精度と信頼性も優れています。
また、ドーム型のサファイアガラスは、両面に反射防止コーティングが施されており、太陽光や照明の影響を受けにくくなっています。それだけでなく、ストップウォッチ機能も搭載されており、秒針、分針、時針の計測が可能です。これらの機能は、パイロットの飛行時間や燃料消費量などを計算するのに役立ちます。
パイロットウォッチ クロノグラフ 41 IW388104は、IWCのパイロットウォッチの伝統と技術を受け継いだ、まさにパイロットのための時計です。
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ブレゲ
ブレゲは、1775年にパリのシテ島で時計職人のアブラアン・ルイ・ブレゲが時計工房を設立したのがはじまりです。当時は自動巻きの仕組みが知られておらず、何人もの時計職人が試行錯誤していましたが、ブレゲがはじめてプラチナ製の分銅から信頼性の高い仕組みを発見しました。
そして、1780年に自動巻き時計の「ペルペチュエル・ウォッチ」を販売します。その後、航空分野へと興味を持つようになったブレゲは、1950年代初頭に空軍用の腕時計の製造を始めました。これが現在も販売されている「タイプ20」のモデルです。
さらに、軍用の腕時計が成功したことによる世間での需要の高まりを受けて、民間用に「タイプXX」の制作が進められました。
アエロナバル タイプXX フランス海軍航空部隊100周年記念 世界限定1000本 3803ST/92/3W6
フランス海軍航空部隊の設立100周年を祝して誕生した、アエロナバル タイプXXの限定モデルです。このモデルは、世界でたった1,000本しか生産されておらず、希少性が非常に高いです。
ケースサイズは39mmで、ステンレス製のケースは耐久性に優れています。黒塗りの回転ベゼルには数字が浮彫りになっており、視認性が抜群です。裏蓋にはフランス海軍航空部隊の公式エンブレムが刻印されており、歴史的な価値を感じさせます。
文字盤は黒色で、白いアラビア数字と針が映えており、ケースバンドにはフルート模様が施されているため、上品な印象を与えてくれます。
このモデルは、パイロットウォッチの機能性とブレゲの美しさを兼ね備えた逸品です。
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カルティエ
カルティエは、1847年にフランスのパリで創立されたジュエリーと高級腕時計のブランドです。1904年に飛行家の友人のために製造した世界初の実用的な腕時計は、現在も「サントス ドゥ カルティエ」として愛されています。
サントスは、四角いケースが特徴のシンプルなデザインのモデルです。また、通常であれば見えないようにするビスをあえて見えるようにデザインし、新たなスタイルを確立させました。
ブレスレットは人間工学に基づいて腕にフィットするように設計されており、着け心地にもこだわっています。
サントス ドゥ カルティエ ウォッチ WSSA0062
WSSA0062は、2018年に発表されたラージモデルで、グリーンの文字盤が目を引くモダンな逸品です。
ケースサイズは39.8mmで、耐久性に優れたスティール素材が採用されています。6時の位置には日付表示があり、日常使いにも便利です。また、針には夜光塗料が施されており、暗闇でも視認性が高くなっています。
ブレスレットもスティール製で、カルティエのアイコニックなビスモチーフが施されているのが特徴です。また、スマートリンクシステムにより、簡単にサイズ調整ができます。
さらに、このモデルの特徴は、クイックスイッチシステムにより、ストラップを自在に交換できることです。
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ロンジン
ロンジンは、創業者のオーギュスト・アガシが、1832年スイスのサンティミエに構えた工房から始まりました。当時は、時計職人の自宅で製造された部品を工房で組み立てていましたが、1852年に自社工場を設立し機械化された生産体制を確立することで、品質と精度を高めていきます。
その精度の高さから、スキーやF1などのさまざまなレースで計時を任されるようになりました。ロンジン初のパイロットウォッチは1911年に製造され、徐々に多くの機能を搭載するようになります。とくに、回転ベゼルとクロノグラフは非常に優秀な機能です。
ハイドロ コンクエスト クロノグラフ L3.783.4.76.6
このモデルは、ロンジンの技術革新と上品さを兼ね備えた高性能なコレクションの一つです。
このモデルの最大の魅力は、クロノグラフ機能を備えていることといえます。クロノグラフとは、秒針をスタート・ストップ・リセットできるストップウォッチのことです。パイロットやスポーツマンにとって、時間を正確に計測することは重要です。そのため、クロノグラフはパイロットウォッチの代表的な機能の一つとなっています。
また、このモデルは、ステンレスで作られたケースとブレスレットを採用しているのも特徴です。ケースのサイズは41mmで、男性にぴったりのサイズ感といえます。また、ケースの上には回転ベゼルがあります。
文字盤の色はグレーで、シックで落ち着いた雰囲気を演出してくれるでしょう。文字盤にはアラビア数字とインデックスが使われており、視認性も高いです。また、針には赤色がアクセントとして使われており、スポーティな印象も与えてくれます。針とインデックスには夜光塗料が施されており、暗闇でも時刻を読み取りやすいです。
ロンジン ハイドロ コンクエスト クロノグラフは、パイロットウォッチの機能性と上品さを兼ね備えた優れたモデルです。
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ブライトリング
ブライトニングは、1884年にサンティミエのヌーヴ広場1番に工房を設立しました。独自のデザインと革新的な技術が注目を集め、アスリートや航空業界において憧れのブランドへと成長します。
数々の特許を取得したブライトニングは、高精度のクロノグラフを次々と発表しています。独立したプッシャーの仕組みを取り入れた腕時計は高い評価を受けました。
1938年には、航空分野に特化した部門を新設し、さらに技術向上の研究を進めて回転計算尺を取り入れることに成功します。現在のモデルの多くには回転計算尺のほか、クロノグラフやムーンフェイズなどの複雑機構も取り入れられています。
ナビタイマー B01 クロノグラフ 43 AB0138211B1P1
ブライトニングの名作、ナビタイマー。そのなかでも、自社製キャリバー01を搭載したこのモデルは、パイロットウォッチの最高峰といえるでしょう。キャリバー01は、ブライトニングが誇る自社開発製造のムーブメントで、コスク(スイス公式クロノメーター検定協会)の認定を受けた高精度なクロノグラフです。また、回転計算尺を備えたベゼルは、飛行時間や燃料消費量などを計算できるので、まさに空の上のコンピューターといえます。
このモデルの魅力は、機能性だけではありません。ケースは耐久性の高いステンレススティール製で、サイズは43mmと存在感のあるサイズです。文字盤は深みのあるブラックで、クロノグラフのサブダイヤルはコントラストの高いホワイトで視認性も抜群です。ブレスレットもブラックのアリゲーターレザーで、高級感とスポーティさを兼ね備えています。シンプルなモノトーンのカラーリングは、どのような服装にも合わせやすく、ビジネスからカジュアルまで幅広いシーンで活躍するでしょう。
ブライトニングの技術とデザインの粋を集めたこのモデルは、航空愛好家はもちろん、腕時計ファンにもおすすめです。
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お気に入りのパイロットウォッチを見つけよう
パイロットウォッチは1904年から製造されている多機能の腕時計です。パイロットが航空機を操縦する際に着用する腕時計として作られているため、丈夫な作りで高精度となっています。
回転計算尺やクロノグラフなどの複雑機構も取り入れられており、各ブランドの高い技術力が感じられるのも魅力の一つです。ぜひお気に入りの一本を見つけて、機能性を追求した実用性の高いパイロットウォッチを身につけてみてください。